タイ移住に興味をお持ちの皆さん、こんにちは。本記事では、子連れでバンコクに移住した家族が実際に半年間過ごした生活費や家計簿の詳細を大公開します。タイは「安い国」というイメージがありますが、バンコク市内での生活は、日本の大都市での慎ましい暮らしと大きな変わりはありません。今から、家族構成や住環境、日々の支出、年一度の固定出費など、リアルな数字に基づいた家計の内訳をご紹介します。この記事が、これからタイ移住を検討中の方にとって、有益な情報となれば幸いです。
バンコク移住の前提条件と生活スタイル
家族構成と基本的な生活環境
タイでの生活費を考える際、まずは家族構成と住環境を明確にすることが大切です。今回ご紹介する家計簿は、夫・妻・6歳と3歳の子ども4人家族を前提としています。たとえば、インターナショナルスクールに通う子どもたち、駅近で築年数が10年前後の物件、なおかつエリアは中心部に近く、生活利便性と清潔さを重視した住環境を選んだケースです。また、家計の支出においては、健康や教育、外食・お出かけといった子どもたちの成長環境を充実させるために、必要な投資を惜しまない方針となりました。
タイ生活のスタイルと家計の考え方
「なるべく質の良い食材や調味料で健康的な食事をしたい」「休日は家族でお出かけして、思い出を作りたい」という生活の価値観を前面に出しながらも、無駄遣いを避けるというバランスをとっています。インターネットや携帯電話、サブスクリプションサービスなど、定期支出の管理も徹底。タイならではのローカルなサービスと、日本並みの快適さを享受するためには、どこに予算を割くかが鍵となります。実際、家賃や光熱費、食費などの主要項目については、具体的な数字をもとに検証しました。
月々の固定費の内訳
家賃と住環境
バンコク市内で、2ベッドルーム(約83平米)のマンションに住む場合、家賃は月々約152,300円(約43,500バーツ)程度となります。エリア選びは非常に重要で、中心部へのアクセスの良さ、駅近、築年数を重視するかどうかなどで価格は大きく変動します。日系エージェントを利用した場合、安心感がある一方でコストは少し高めですが、現地エージェントや直接交渉によってさらに節約する選択肢もあります。
水道・光熱費などの光熱費
バンコクの多くのコンドミニアムでは、ガスを使用せずにキッチンやお風呂の設備はすべて電気の代金に含まれているため、冷房用エアコンも含めた電気代が大きなウェイトを占めます。今回のケースでは、水道費が月約1,200円(350バーツ)、光熱費が約9,800円(2,800バーツ)、浄水器費用として月額約3,150円(900バーツ)が計上されています。また、インターネットの利用料は月約2,200円(641バーツ)、携帯代(大人2人分)はそれぞれ約2,600円(373バーツ×2)といった額となっています。
サブスクリプション費用
最近では、日本とタイで提供されるサブスクサービスの内容が異なる場合もあるため、選択する際は注意が必要です。今回の事例では、ディズニーチャンネルやiCloudのストレージサービスなど、月々合計約2,000円程度の費用が発生しており、アマゾンプライムなどはすでに解約を検討中とのことです。
| 項目 | 金額(円) | 金額(バーツ) |
|---|---|---|
| 家賃(2BR・83平米・駅近) | 152,300 | 43,500 |
| 水道費 | 1,200 | 350 |
| 光熱費 | 9,800 | 2,800 |
| 浄水器 | 3,150 | 900 |
| インターネット | 2,200 | 641 |
| 携帯代(大人2人分) | 2,600×2 | 373×2 |
| サブスク費用 | 2,000 | – |
| 合計 | 174,000 | – |
毎月変動する支出の詳細
食費・日用品費
ロックダウンなどの影響で、外出が制限された期間には自宅での食事が中心となります。家族4人分だと、食材や日用品、デリバリー、そして外食費も含め、月平均で約100,000円を見込んでいます。バンコクではスーパーで購入できる食材の質や種類は豊富ですが、日本食材やオーガニック食品など、こだわりのある場合はさらに予算が必要になるかもしれません。
交通費
家族で車や運転手を持たず、主にタクシーや配車アプリ(Boltなど、Grabも知られています)で移動するケースです。近距離の移動であれば、タクシー料金は非常に安価で、1回の利用で数百円から、長距離の場合も合計すると月額7,000円程度に収まっています。交通手段として、特に市内や近郊の移動に関しては、配車アプリの利用が非常に便利です。
嗜好品・自己投資費
ここでは、個々の余暇活動や美容、服飾品、書籍などの嗜好品費も含まれます。今回の家計例では月平均で約40,000円がこうした費用に充てられており、各家庭のライフスタイルに大きく左右される項目です。特に、今後タイ国内でも日本人向けの美容クリニックやサロンの数が増えつつあるため、場合によっては日本よりも高額になることも考えられます。
子ども関連の支出
子どものおもちゃ、服、遊び場、習い事などの費用は一律に月平均約15,000円ほどです。バンコクでは、子ども向けの施設や遊び場、エンターテインメントが充実している反面、海外のインターナショナルスクールの学費は別途高額になるため、家計の中ではしっかりと予算を組む必要があります。家族での語学や習い事、市内でのアクティビティも今後検討項目となるでしょう。
| 項目 | 金額(円) | 備考 |
|---|---|---|
| 食費+日用品+外食 | 100,000 | ロックダウン時は自炊中心 |
| タクシー・交通費 | 7,000 | 1回あたり150-200バーツ程度 |
| 嗜好品・自己投資 | 40,000 | 服、美容、書籍など |
| 子ども関連費 | 15,000 | おもちゃ、服、遊び場など |
| 合計 | 170,000 | – |
年に一度発生する大きな出費
医療保険
タイに移住する際には、入国条件として一定額以上の医療保険へ加入する必要があったり、家族全体の医療費の備えとして保険料がかかったりします。今回の家計例では、家族4人分の医療保険の費用として年間約610,000円程度が必要でした。なお、これはコロナ禍で公的な保険加入が義務付けられていたケースで、任意加入に変更される可能性もあります。
学費
インターナショナルスクールに通う場合、幼稚園から小学校までの年間学費は80万円から400万円と幅があります。月々に換算すると非常に高額になるため、家計全体の大きな出費としてしっかりと計画する必要があります。また、スクールバスやその他の付随費用も予算に含めることが大切です。
保護者ビザのための預金証明
タイでの長期滞在を可能にするための保護者ビザ延長には、50万バーツ(当時は約175万円)の預金証明が求められます。一定期間、引き出さずに預金残高を維持する必要があるため、これは実際の出費ではなく、ビザ取得のための条件となる資金として注意が必要です。
単発費用と引越し時の初期投資
単発でかかる支出
家計の中には、普段の月々の支出以外に、単発で発生する費用もあります。たとえば、レンタカーを利用する場合、1泊あたり約10,000円(約2,500バーツ)程度の出費が発生します。また、旅行代として1回あたり約100,000円、鍵のトラブル時に鍵業者へ支払う費用として約2,100円(600バーツ前後)が必要になるケースもあります。
引越し時の初期費用
タイに移住を開始する際、パソコンのデスクやチェア、炊飯器、プリンター、キッチン用品など、生活に必要な家電製品や家具を新規に購入する必要があります。例えば、炊飯器は約28,000円、プリンターは約10,500円、キッチン用品に約35,000円ほどの初期投資がかかりました。これらは、現地での生活が軌道に乗るための初期コストとして、あらかじめ準備しておくべき金額です。
今後の生活費の見通しと対策
生活の質の向上を目指すための見直し
初年度は最低限の予算で慎ましい生活を実現しましたが、半年が経過してみると、家族のライフスタイルやニーズに合わせて住環境やサービスをアップグレードする可能性もあります。たとえば、より広い物件への引越し、子どもの習い事の充実、または家事代行サービスやナニー、メイドの導入など、生活の質向上のための出費が増えるかもしれません。引越しの際は、家賃の相場が8万バーツ前後といった現地の価格動向も検討しましょう。
長期的な出費と今後の計画
タイでの生活には、住宅費、医療費、学費、保険、そして各種サービス利用費が含まれます。さらに、生活費のインフレや物価上昇も懸念され、2年目以降は初期費用や単発支出に加え、定期的な出費の見直しが求められます。例えば、月々42~43万円(学費を含めれば54万円程度)の支出は、今後の生活拡充や家計の安定性、そして突発的な出費に対する備えを含めた計画を立てる上で重要な数字となります。
タイ移住を成功させるためのポイント
生活スタイルと予算の一致
タイ移住においては、住む場所、生活レベル、選ぶサービスによって大きく家計が変動します。現地ではローカルな安さを享受できる一方で、日本と同等の品質を求める場合は、相応の出費がかかることを理解しておきましょう。この記事で示した数値は、あくまで一例であり、個々のニーズに合わせた予算設定が必須です。エリア選定や住まい、食事、教育など各項目を自分たちのライフスタイルに合わせて見直すことが大切です。
計画的な家計管理と柔軟性
移住後の生活は計画通りに進むとは限らず、予期せぬ出費や物価の変動が起こる可能性があります。定期的な家計の見直しと、それに応じたライフスタイルの調整が不可欠です。特に、子どもの成長に伴う教育費や、健康維持のための医療費、さらには将来的な引越しやサービスの利用に向けた資金の準備は、長期的な視点で家計管理を行っていく中で大きなポイントとなります。
地域と文化に合わせた柔軟な対応
タイは日本とは異なる文化や生活習慣が根底にあります。現地の食文化に触れ、タイならではの食材やサービスを取り入れることは、楽しく健康的な生活を送るための秘訣です。とはいえ、健康や安全、そして教育など、日本での生活レベルを維持しつつ、新しい文化を取り入れるバランス感覚が重要となります。住む地域の特性や、近隣にある施設、交通機関の利用方法なども事前にリサーチし、無理なく現地生活に適応していくことが求められます。
まとめ
本記事では、子連れでバンコクに移住した家族の半年間にわたる実際の生活費と家計簿を、具体的な数字とともにご紹介しました。家賃や光熱費、食費、交通費、そして年に一度必要な医療保険や学費、さらには保護者ビザのための預金証明など、タイでの生活にかかる費用は多岐にわたります。
移住に際しては、環境や生活レベル、そして各家庭のライフスタイルに合わせた予算設定が必要です。現地の情報をもとに、将来の生活設計や家計管理をしっかりと行うことで、安心して新しい生活をスタートできるでしょう。なお、タイは物価が上昇している状況もあり、初めの数年で生活費の見直しも重要なテーマとなります。
バンコクでの生活は、日本と大きな違いはないものの、文化や生活習慣の違いを楽しむ余裕も生まれ、家族全員が一丸となった挑戦とも言えます。子どもたちの成長や、新しい環境での発見、そして日々の小さな充実感を大切にしながら、これからの生活設計に役立てていただければ幸いです。
皆さんも、タイ移住のリアルな家計管理を参考に、自分たちの理想とする生活スタイルや住環境をじっくりと検討し、賢く充実した海外生活を実現してください。


