ダイソーの1000円（税別）で販売されているワイヤレスイヤホン全4製品を実際に聞き比べ、音質や装着感、利便性などをレビューしてみました。今回は、無線イヤホン市場の注目度が上がる中、格安ながらもどの製品が日常使いに耐えうるのか、またそれぞれの個性がどう表れているのかを紹介します。
製品概要と特徴
TWS003
TWS003は、USB Type-C充電に対応し、ケース使用時で最大約22.5時間の再生時間を誇ります。再生周波数は20～20,000ヘルツと、どの周波数帯もカバーしている仕様。パッケージには「リズム際立つ迫力重低音」を謳っており、シンプルな一般的なイヤホン型のデザインになっています。イヤーピースは1組付属しており、標準的なフィット感が期待できます。
DAISO_TWS_G273_4
この製品はスケルトンタイプのイヤホンで、USB Type-C充電対応、ケース使用時で約15時間の再生が可能です。再生周波数はTWS003と同様に20～20,000ヘルツと広帯域ですが、付属品としてイヤーピースは付いておらず、イヤーポッズ型のデザインとなっています。見た目はスタイリッシュですが、装着感は一般的なイヤーピース付きの製品に比べるとやや物足りなさがあります。
DG036-01
DG036-01は、USB Type-C充電による使い勝手の良さが魅力です。ケース使用時で約24時間の再生が可能で、再生周波数も20～20,000ヘルツ。パッケージには「臨場感ある迫力サウンド」というキャッチコピーがあり、付属品としてイヤーピースが3サイズ揃えられている点が嬉しいポイントです。また、イヤホン本体は斜めに挿入する形状で、装着時のフィット感が非常に良好です。特筆すべきは、ケースに設けられたマグネットの吸着力が強く、逆さにしても落ちにくい点です。
BTTWSL1
BTTWSL1は、USB Type-B（miro USB）充電に対応している珍しいモデルです。連続再生時間は約6時間で、再生周波数は他の製品と同じく20～20,000ヘルツ仕様です。パッケージには「美しい音が流れる6時間」というキャッチコピーがあり、ケース、イヤホン本体、さらに充電ケーブルが付属しています。充電ケーブルがmiro USBという旧式規格であるため、ケーブルが付属していなければ充電自体に困難が生じる恐れがあります。形状は一般的なタイプで、着用感はまずまずの印象です。
実際の聞き比べテスト
テストには、ハードロックバンド「人間椅子」の楽曲「針の山」を採用しました。迫力あるサウンドと疾走感溢れるリフが特徴のこの楽曲は、各製品の音の特徴を浮き彫りにするのに適しています。また、同時に基準として、1万円台の高級ワイヤレスイヤホンとも比較し、格安イヤホンとの違いを検証しました。
高級イヤホンとの比較
まず、基準として試聴したのは、人気の高いAnker Soundcore Liberty Air 2 Proです。ダイナミックな楽曲展開が正確に再現され、音の迫力は格安イヤホンとは一線を画すものでした。このイヤホンは価格面でも明らかに上位製品であるため、参考として音のバランス・再現性を考える上で役立ちました。
各製品の音質評価
- TWS003：音全体に「霞み」が感じられ、特に低音にややこってりとした印象。一定のボリュームに到達するまでは、音の透明感が不足していると感じました。
- DAISO_TWS_G273_4：スタイリッシュな見た目とは裏腹に、中音域の切れが弱い傾向。高音はTWS003よりもクリアですが、全体的な音のスッキリ感に欠ける印象でした。イヤーピースが付属していない点も、遮音性やフィット感の面でマイナスポイント。
- DG036-01：中音域が強調された音出しとなり、あたかもラジオで再生しているかのような味わい。音に独特の風味があり、過去のカセットテープを思わせるノスタルジックな印象を受けます。
- BTTWSL1：全体的なバランスは悪くなく、特に低音がこもり気味な印象ながらも、各帯域が調和を保っています。音量は控えめですが、価格と比較すると「買ってもいいかも」というレベルの音質でした。
総合評価と結論
4製品を総合的に聞き比べた結果、各モデルにそれぞれの特徴が見られました。特にTWS003は重低音を強調するキャッチコピー通りの仕上がりでしたが、音の透明感に欠ける一面がありました。DAISO_TWS_G273_4はデザイン面での魅力はあるものの、イヤーピースが付属していないために中音の再現性や遮音性で難がありました。DG036-01は、ケースのマグネットの強さやイヤーピースのバリエーションから、着け心地と安定性の面で優れており、一部のリスナーには好まれる可能性があります。しかし、全体的には「音楽を楽しむ」という面では、やはりBTTWSL1が最もバランスの取れた仕上がりだったように感じます。
とはいえ、1000円という価格帯ではハイエンドモデルに比べると音の迫力や細かな音域の表現で劣る部分は否めません。この結果から考えると、日常的に手軽に音楽を楽しむための予備機や、普段使いの軽いイヤホンとしては十分な性能を保持しているとはいえ、音質にこだわるリスナーであれば、もう少し上のグレードのイヤホンや、同価格帯の有線イヤホンとの比較検討も必要かもしれません。
今後の展望
今回の検証を通して、格安無線イヤホンにも一長一短があることが明確となりました。ダイソーのような100均ショップならではの製品は、低価格で手軽に最新のトレンドを試すことができるという利点があります。今後も、さらに良い製品との出会いや、他メーカー製品との比較を重ねることで、格安イヤホン市場の奥深さや可能性を探っていきたいと思います。
本記事が、イヤホン選びの参考になり、また今後の新たな発見へと繋がる一助となれば幸いです。
