沖縄県南城市に位置する斎場御嶽（せーふぁうたき）は、琉球王国最高の聖地として知られ、2000年にはユネスコの世界遺産に登録されました。
多くの観光客が訪れる人気スポットである一方、「行かない方がいい」という意見も聞かれます。
この記事では、斎場御嶽に行くことに躊躇する理由と、訪問する際に知っておくべき重要な情報をご紹介します。
斎場御嶽とは？琉球王国最高の聖地の歴史
御嶽（うたき）とは、南西諸島に広く分布している「聖地」の総称で、斎場御嶽（せーふぁうたき）は琉球開闢（りゅうきゅうかいびゃく）伝説にもあらわれる、琉球王国最高の聖地です。また、琉球国王や聞得大君（きこえおおきみ）の聖地巡拝の行事を今に伝える「東御廻り（あがりうまーい）」の参拝地として、現在も多くの人々から崇拝されています。
斎場御嶽には六つのイビ（神域）があり、琉球国王はこの六カ所を参拝しながら、国家繁栄・安寧、五穀豊穣、航海安全などを神に祈願しました。琉球王国時代、国家的な祭事には聖なる白砂を「神の島」といわれる久高島から特別に運び入れ、それを御嶽に敷きつめました。その祭事の中でも、最も大きな行事が、聞得大君（きこえおおきみ）の就任式である「御新下り（おあらうり）」でした。
斎場御嶽の中にはイビと呼ばれる霊域が6カ所あります。その中でも、大庫理（ウフグーイ）・寄満（ユインチ）はいずれも首里城内にある建物や部屋と同じ名前を持っていることから、首里城と斎場御嶽の深い関わりがうかがえます。また、斎場御嶽は聞得大君の就任儀礼「御新下り（おあらおり）」の主会場でもありました。これは国の最高神職に就任する重要な儀式であり、その祭祀場であったことは斎場御嶽の重要性を物語っています。
斎場御嶽はその時代、男子禁制とされており、入口にあたる「御門口（うじょうぐち）」からは権力の高い国王であっても女装に着替えていたと伝えられています。
斎場御嶽に行かない方がいいとされる理由
1. 強すぎるパワーと霊的影響
斎場御嶽は沖縄で最も格の高い聖地とされているため、目に見えない不思議なパワーの力も強く、体調を崩される方もおられるようです。霊感の強い人だと、その凄まじさが肌身に染みて「怖いほど分かる」特殊な霊場だとも言われています。
実際に、斎場御嶽公認ガイド「アマミキヨ浪漫の会」の方によると、特に三角岩の前では霊感の強い人がカメラのシャッターを切ると「淡い光を放つオーブ」が写り込むことがあるそうです。
多くの訪問者が、「斎場御嶽に呼ばれた」という不思議な体験をしたり、写真に青い光やオーブが写り込むといった現象を経験しています。
観光地だからと遊び半分な気持ちでは行かない方がいいのかもしれません。この神聖さゆえに、訪れる際には遊び半分ではなく、敬意を持つことが必須です。
2. 観光地化によるマナー問題
斎場御嶽は、琉球王国時代から聖地として崇められてきた場所であり、現在も多くの人々にとって信仰の対象です。しかし近年、観光客が急増しており、静かで神聖な雰囲気が損なわれることがあります。一部の観光客によるマナー違反（大声での会話、立ち入り禁止区域への侵入など）が問題視されています。また、神聖な場所を軽々しく扱う観光客に対して、地元住民が不快感を覚えることもあります。
世界遺産に登録されてからは来訪者が増え、交通渋滞、マナー違反、すり減る石畳といった課題も増えてきました。斎場御嶽を管理する南城市では、市観光協会やガイドの会と連携し、マナーの周知を徹底し、駐車場の適正化を図るなど、世界遺産の保護に努めています。
3. 自然環境の問題と安全面での懸念
斎場御嶽の地形は急峻で、初心者や体力に自信がない人には挑戦的です。特に、雨季や台風シーズン中は地面が滑りやすくなり、転倒の危険性があります。また、急な天候変化により視界が悪くなることも頻繁です。
斎場御嶽は、自然の中に位置しているため、天候やアクセスによっては訪れにくい場合があります。雨天時は足元が悪くなるため、注意が必要です。また、台風などの悪天候時は閉鎖されることがあります。アクセスも那覇空港から車で約1時間と、やや距離があります。さらに、御嶽内は舗装されていない場所や、階段、坂道などがあり、足場の悪い場所があります。
斎場御嶽を訪れる際に知っておくべきこと
適切な服装とマナー
斎場御嶽は神聖な場所であるため、過度に露出の多い衣服や派手な服装、高いヒール靴などは避けるべきです。動きやすく、リラックスした服装を選び、歩きやすい靴を履くことをおすすめします。帽子、日焼け止め、虫除けスプレー、タオル、飲み物などの持ち物も忘れないようにしましょう。
斎場御嶽では、飲食物の持ち込み、お祈り中の人への声かけや撮影、歩きながらのスマホ操作、大声での会話や音声の流出などは禁止されています。これらの禁止事項は、神聖な雰囲気を維持するために非常に重要です。
訪れる際には、静かに参拝する、写真撮影は許可された場所でのみ行う、ゴミは必ず持ち帰り環境美化に努める、服装に気を配る、祈りの場を尊重することを心がけましょう。平日の午前中や夕方の時間帯は比較的空いているので、静かに参拝したい方はこの時間帯を選ぶとよいでしょう。
入場情報と注意事項
見学の所要時間はあくまでも目安ですが、入場券売場からの移動時間を含めて約50分～1時間程度です。時間にゆとりをもって訪れることをお勧めします。カメラの撮影は、できるだけ控えてください。特に、拝所を背景にした人物撮影は、神域へ背を向けたことになりますので注意が必要です。
御嶽内は滑りやすい石畳で、急な斜面や階段がありますので、車イス、ベビーカー等では入場できません。小さなお子様をお連れの方は、抱っこひも等を持参するとよいでしょう。また、御嶽内への飲食物持ち込みは禁止されています。飲酒をしながらの歩行も危険ですので控えましょう。御嶽内にはトイレがないので、入場前に済ませておくことをおすすめします。
斎場御嶽に行く際は、駐車場の場所、チケット売り場、入場時間や道のりに注意が必要です。駐車場は「南城市地域物産館」の駐車場に停め、そこでチケットを購入します。土日は混雑するため、さらに遠い「知念岬公園」の駐車場に停めることになる可能性があります。また、斎場御嶽には休息日があるので、事前にホームページでチェックしておくことが大切です。
神秘体験と不思議現象
多くの訪問者が斎場御嶽で神秘的な体験をしています。「もともとそこに行く予定はなかったのですが、誘われるかのように気づくとちょうどすぐ近くまで来ていて、行くことになりました。そしてそこでとてつもなく神秘的な景色を見たのですが、斎場御嶽を出たあとお酒に酔ったかのような感覚に陥り、神の気配を間近で感じました」といった体験談も報告されています。
霊感の強い人に「人や土地からの『気』の影響を受けやすい」と言われた方が、実際に斎場御嶽を訪れた際に、カメラで撮ろうとしても何度もピントが合わない、奇妙な声が聞こえるといった不思議な体験をしたという報告もあります。
斎場御嶽は強力なパワースポットですので、特別霊感が強いわけではない人でも何らかの影響を感じることがあるようです。天候を含め様々な理由で斎場御嶽に行こうとして行けなくなった時は、まだ行くべきタイミングの人ではないのかもしれません。その時が来たら斎場御嶽の方から「呼んでくれる」という話もあります。
結論
斎場御嶽は、沖縄の歴史や文化、スピリチュアルな意味合いを深く感じられる神聖な場所です。訪れる際には、その場所に敬意を払い、ルールを守って参拝することが求められます。エネルギーの強さや観光地化によるマナーの問題から、「斎場御嶽には行かない方がいい」と言われることもありますが、しっかりと準備し適切な態度で臨むことで、貴重な体験を得られるでしょう。
「行かない方がいい」とまで言われるほどの場所ではありませんが、沖縄の文化や歴史を深く学びたい人にとっては価値のある場所です。訪れる前に基本的なルールを知り、現地の人々の思いを尊重することが大切です。観光目的だけでなく、沖縄の信仰や歴史に敬意を持ちながら訪れることで、より深い感動を得られるかもしれません。
「心霊スポットだなんてとんでもない。沖縄県最大級の聖域の一つです。霊感などない私ですが、神聖な雰囲気を肌で感じることが出来る場所です。自然への敬いの心を持って足をお運び頂ければと思います。」
斎場御嶽は観光地であると同時に、今なお生きている沖縄の信仰と文化の中心地でもあります。そこを訪れる際には、単なる観光地として見るのではなく、現地の人々の信仰と歴史に敬意を払い、適切なマナーを守ることで、斎場御嶽の本当の魅力と価値を感じることができるでしょう。
