近年、ウォーターサーバーというと家族向けのイメージが強い方も多いかもしれませんが、実は一人暮らしの方でも導入する人が着実に増えています。在宅勤務の普及により家で過ごす時間が長くなったり、健康意識の高まりから水分補給の質を重視する人が増加したりしているのが背景にあります。
しかし同時に、「一人暮らしにウォーターサーバーなんて必要ない」「使い切れずに余ってしまうのでは」「コストが高すぎる」といった疑問の声も聞かれます。果たして一人暮らしにウォーターサーバーは本当に不要なのでしょうか。
この記事では、一人暮らしの方がウォーターサーバーを導入すべきかどうかを、メリット・デメリットの両面から詳しく解説します。さらに、どのような人には向いているのか、向いていないのかについても具体的にお伝えしていきます。
一人暮らしでウォーターサーバーを導入するメリット
重いペットボトルを買いに行く手間が不要
一人暮らしの方がウォーターサーバーを導入する最も大きなメリットの一つが、重いペットボトルを買いに行く負担からの解放です。毎回スーパーやコンビニで2Lのペットボトルを何本も購入し、それを自宅まで運ぶのは想像以上に大変な作業です。
特に車を持たない一人暮らしの方にとって、重たいペットボトルを手で持って運ぶのは重労働です。ウォーターサーバーを導入すれば、定期的に自宅まで水が配送されるため、この負担が完全になくなります。水が切れる心配をする必要もなく、常に美味しい水がストックされている状態を保てます。
いつでも冷水と温水がすぐに使える利便性
ウォーターサーバーの大きな魅力は、24時間いつでも冷たい水と温かいお湯が即座に使える点です。朝の忙しい時間にコーヒーやスープを作りたい時、お湯を沸かす手間なくすぐに80〜90度の温水が利用できます。
一人暮らしの方は電気ポットを置いていないことが多く、その都度電気ケトルややかんでお湯を沸かしている方も多いでしょう。ウォーターサーバーがあれば、カップ麺やインスタント食品の調理、紅茶やコーヒーの準備が格段に楽になります。
また、夏場には5〜12度の冷たい水がいつでも飲めるため、冷蔵庫の容量を圧迫することなく、清涼感のある水分補給ができます。
ゴミの削減と環境への配慮
ペットボトルを頻繁に購入していると、その都度プラスチックゴミが発生してしまいます。ウォーターサーバーの場合、12Lという大容量のボトルを使用するため、同じ量の水を消費してもゴミの発生量が大幅に削減できます。
一人暮らしのワンルームや1Kでは、ゴミを置くスペースも限られています。ペットボトルのゴミが少なくなることで、居住空間をより快適に保てるでしょう。
災害時の備蓄水としての安心感
日本は地震や台風などの自然災害が多い国です。一人暮らしの場合、災害への備えが不十分になりがちですが、ウォーターサーバーがあれば常に一定量の水が確保されている状態を維持できます。
12Lのボトルが2本あれば、大人一人が約1週間程度は水に困らない計算になります。電気が止まったとしても、重力を利用した給水は可能な機種が多いため、非常時の安心材料となります。
水分摂取習慣の改善と健康維持
ウォーターサーバーがあることで、自然と水を飲む頻度が増加する傾向があります。美味しい水がいつでも手軽に飲めるため、意識的な水分補給の習慣が身につきやすくなります。
一人暮らしの方は生活リズムが崩れやすく、水分補給も不足しがちです。適切な水分摂取は、健康維持や美容面でも重要な要素です。ウォーターサーバーの美味しい水なら、積極的に水分を摂取したくなるでしょう。
一人暮らしでウォーターサーバーを導入するデメリット
毎月の固定費用がかかる負担
ウォーターサーバー導入の最も大きなデメリットは、毎月一定の費用がかかることです。一人暮らしの場合、月額約2,500円〜4,000円程度の費用が発生します。
内訳としては、水代が月12L〜24Lで約2,400円〜4,000円、電気代が月500円〜1,000円程度です。安価なペットボトル（2Lで100円程度）と比較すると、確実にコストは高くなります。限られた予算で生活している一人暮らしの方にとって、この固定費は決して小さくない負担となるでしょう。
設置スペースの確保が困難
一人暮らし向けの物件は、ワンルームや1Kなど限られた間取りが一般的です。ウォーターサーバーは床置き型の場合、幅30cm、奥行き30cm、高さ100cm程度のスペースを必要とします。
さらに、予備のボトルを保管するスペースも確保しなければなりません。狭い部屋にウォーターサーバーを設置すると、生活動線を妨げたり、圧迫感を与えたりする可能性があります。部屋の間取りや家具の配置によっては、設置自体が困難な場合もあるでしょう。
水の消費量と注文ノルマのミスマッチ
多くのウォーターサーバー会社では、月に24L（12Lボトル2本）程度の最低注文ノルマが設定されています。しかし、一人暮らしで外出が多い方の場合、月に24Lを消費しきれずに水が余ってしまうケースがあります。
水を飲み切れないまま新しいボトルが配送されると、保管場所の問題が発生します。また、ボトルを長期間保管すると衛生面での心配も生じます。一人暮らしの水の消費量は個人差が大きいため、注文ノルマがライフスタイルに合わない場合があります。
定期配送の受け取り負担
宅配型のウォーターサーバーでは、定期的にボトルの配送があります。一人暮らしで平日の日中は仕事で不在にしている方の場合、配送の受け取りが負担になることがあります。
再配達の手続きや、時間指定での受け取りなど、配送に関する手間が発生します。また、配送日時を選べないメーカーもあり、自分の都合に合わせにくい場合もあります。
ボトル交換の手間と負担
12Lのボトルは重量が約12kgあり、一人でのボトル交換は意外に重労働です。特に女性の場合、重いボトルをサーバーの上部に設置するのは身体的な負担となります。
また、空になったボトルの処理や、ボトルが設置された状態でのサーバーのお手入れなど、定期的なメンテナンス作業も必要になります。
一人暮らしにウォーターサーバーが向いている人の特徴
在宅時間が長く水の消費量が多い人
リモートワークやフリーランスなど、在宅時間が長い方はウォーターサーバーのメリットを十分に享受できます。家にいる時間が長いほど、冷水や温水を使う機会が増え、ウォーターサーバーの利便性を実感できるでしょう。
また、料理を頻繁にする方や、コーヒーや紅茶をよく飲む方も、温水機能を活用して時間短縮ができます。1日に1L以上の水を消費する方であれば、月24Lのノルマも無理なく消費できるでしょう。
健康や美容に関心が高い人
水分補給の質にこだわりたい方や、健康維持・美容のために良質な水を摂取したいと考えている方には、ウォーターサーバーが適しています。天然水タイプのサーバーなら、ミネラル成分を含んだ美味しい水を日常的に摂取できます。
水の味や品質を重視し、水道水では物足りないと感じている方にとって、ウォーターサーバーは価値のある投資となるでしょう。
ペットボトルの購入・運搬が負担な人
車を持たない方や、重いものを持つのが困難な方にとって、ウォーターサーバーは大きなメリットがあります。高齢の方や、腰痛などの身体的な問題を抱えている方にも適しています。
また、忙しくて買い物に行く時間が限られている方や、水を買い忘れがちな方にも、定期配送システムは便利です。
来客がある程度ある人
友人や家族が訪れることが多い方は、ウォーターサーバーがあると来客時のおもてなしに役立ちます。すぐに冷たい水やお茶、コーヒーを提供できるため、ホスピタリティの向上につながります。
また、見た目にもおしゃれなデザインのサーバーを選べば、インテリアとしても機能し、部屋の雰囲気を向上させることができます。
一人暮らしにウォーターサーバーが向いていない人の特徴
外出が多く家での水消費量が少ない人
営業職や接客業など、外出が多く家にいる時間が短い方は、ウォーターサーバーの恩恵を十分に受けられない可能性があります。水の消費量が月12L以下の場合、注文ノルマを満たすために余分な水を注文することになり、コストパフォーマンスが悪くなります。
また、長期出張や旅行が多い方も、水が無駄になりやすく、定期配送の受け取りも困難になります。
初期費用・月額費用を抑えたい人
一人暮らしを始めたばかりで初期費用を抑えたい方や、月々の固定費を最小限にしたいと考えている方には、ウォーターサーバーは向いていません。
安価なペットボトルや浄水器、水道水で十分だと考えている方にとって、ウォーターサーバーの費用は過剰な出費に感じられるでしょう。
設置スペースが確保できない人
極端に狭い部屋に住んでいる方や、既に家具が多くて追加でスペースを確保するのが困難な方は、物理的にウォーターサーバーの設置が難しいでしょう。
また、頻繁に引っ越しをする可能性がある方も、設置・撤去の手間を考えると、ウォーターサーバーは不向きかもしれません。
水道水や浄水器で満足している人
現在使用している水道水や浄水器の水に特に不満がない方は、わざわざウォーターサーバーを導入する必要性を感じないでしょう。
お湯を沸かす手間が気にならない方や、冷たい水は冷蔵庫で冷やせば十分だと考えている方にとって、ウォーターサーバーのメリットは限定的です。
一人暮らし向けウォーターサーバーの選び方のポイント
コンパクトサイズやデザイン性を重視
一人暮らしの限られたスペースでは、卓上型やスリムタイプのコンパクトなサーバーを選ぶことが重要です。床置き型でも、幅や奥行きができるだけ小さいものを選びましょう。
また、部屋のインテリアに調和するデザインを選ぶことで、ウォーターサーバーを部屋のアクセントとして活用できます。最近は、グッドデザイン賞を受賞したスタイリッシュなモデルも多数登場しています。
注文ノルマが柔軟なメーカーを選ぶ
一人暮らしの場合、配送スキップ制度や注文ノルマの少ないメーカーを選ぶことが重要です。月によって水の消費量にばらつきがある場合に対応できるシステムを選びましょう。
また、少量パックがある場合は、12Lではなく8Lや6Lなどの小容量ボトルを選択肢に入れることも検討してください。
足元ボトル交換タイプを検討
ボトル交換の負担を軽減するため、足元でボトル交換ができるタイプを選ぶことをおすすめします。特に女性の一人暮らしでは、重いボトルを持ち上げる必要がないため、身体的な負担が大幅に軽減されます。
浄水型ウォーターサーバーも選択肢に
ボトル配送の手間をなくしたい場合は、水道水を浄水する浄水型ウォーターサーバーも検討の価値があります。月額定額制で水が使い放題となり、注文ノルマや配送の受け取りを気にする必要がありません。
一人暮らし向けおすすめウォーターサーバー
コンパクト型：アクアクララ「アクアスリム S」
卓上型で省スペース設計の「アクアスリム S」は、一人暮らしの狭いスペースにも設置しやすいモデルです。テーブルの上などに設置でき、今までデッドスペースになっていた場所を有効活用できます。
足元ボトル型：コスモウォーター「smartプラス」
業界初の足元ボトル交換を実現したコスモウォーターの「smartプラス」は、重いボトルを持ち上げる必要がないため、女性の一人暮らしにも安心です。月額料金も比較的リーズナブルで、シンプルな料金体系が魅力です。
天然水は住んでいる地域に応じて静岡、京都、大分の採水地から配送され、いずれも軟水で飲みやすく、料理にも適しています。
浄水型：エブリィフレシャス「mini」
水道水を補充するタイプの浄水型サーバーで、月額定額3,300円で水が使い放題です。配送の受け取りやボトル交換が不要で、一人暮らしの手間を大幅に軽減できます。卓上型でコンパクトなため、狭いスペースにも対応可能です。
月額費用シミュレーション
一人暮らしでウォーターサーバーを利用した場合の月額費用をシミュレーションしてみましょう。
| 費用項目 | 宅配水型（24L/月） | 浄水型 |
|---|---|---|
| 水代 | 3,000〜4,000円 | 水道代のみ |
| サーバーレンタル料 | 0〜1,000円 | 3,000〜3,500円 |
| 電気代 | 500〜1,000円 | 300〜500円 |
| 合計 | 3,500〜5,000円 | 3,300〜4,000円 |
一人暮らしの場合、月12Lの消費量でも十分な場合がありますが、多くのメーカーで最低注文数が24L（ボトル2本）となっているため、上記の費用が目安となります。
ペットボトルとの費用比較
同じ24Lの水を、異なる方法で用意した場合の費用比較をしてみましょう。
| 調達方法 | 月額費用（24L） | 手間・利便性 |
|---|---|---|
| 格安ペットボトル（2L×12本） | 1,200円 | 購入・運搬の手間大 |
| コンビニペットボトル（500ml×48本） | 4,800円 | 購入の手間大 |
| 宅配水ウォーターサーバー | 3,500〜5,000円 | 冷水・温水いつでも利用可 |
| 浄水型ウォーターサーバー | 3,300〜4,000円 | 使い放題、補充のみ |
純粋な費用面では格安ペットボトルが最も安価ですが、運搬の手間や温水機能の有無、ゴミの発生量なども考慮すると、ウォーターサーバーの価値が見えてきます。
契約前に確認すべきポイント
契約期間と解約金の確認
多くのウォーターサーバーには2〜3年の契約期間と解約金が設定されています。契約期間中に解約する場合、1万円〜3万円程度の解約金が発生する可能性があります。一人暮らしでは生活環境が変わりやすいため、契約前に必ず確認しましょう。
設置・撤去費用の有無
初期費用として設置費用がかかる場合や、解約時に撤去費用が発生する場合があります。これらの隠れたコストも含めて総合的に判断することが重要です。
メンテナンス体制とサポート内容
一人暮らしでは機械トラブルが発生した際の対応が心配です。メンテナンス体制やサポート内容が充実しているメーカーを選ぶと安心です。24時間対応のコールセンターがあるかどうかも確認ポイントです。
よくあるトラブルと対処法
水が余ってしまう場合
注文ノルマで水が余った場合は、配送スキップ制度を活用しましょう。多くのメーカーで年2〜3回程度のスキップが可能です。また、料理にも積極的に使用することで消費量を増やすことができます。
設置場所が狭すぎる場合
床置き型が設置できない場合は、卓上型への変更を検討しましょう。テーブルの上や棚の上に設置することで、狭いスペースでも利用可能です。
ボトル交換が困難な場合
重いボトルの交換が困難な場合は、足元ボトル交換タイプや浄水型への変更を検討しましょう。また、小容量ボトルがあるメーカーを選ぶことも有効です。
まとめ
一人暮らしにウォーターサーバーが「いらない」かどうかは、その人のライフスタイルや価値観によって大きく左右されます。確かに費用面では格安ペットボトルに比べて高額になりますが、利便性や時間の節約、健康面でのメリットを考慮すると、一概に「不要」とは言い切れません。
特に在宅時間が長い方、健康意識が高い方、重いものを運ぶのが困難な方にとっては、ウォーターサーバーは大きな価値を提供します。一方で、外出が多く水の消費量が少ない方や、コストを最優先に考える方には向いていないでしょう。
重要なのは、自分のライフスタイルに合ったサーバーを選ぶことです。宅配水型か浄水型か、床置き型か卓上型か、注文ノルマはあるかなど、様々な選択肢があります。契約前には十分な検討と比較を行い、自分にとって本当に価値のある選択かどうかを慎重に判断しましょう。
「一人暮らしにはウォーターサーバーはいらない」という固定観念にとらわれず、自分の生活スタイルや優先順位に基づいて、メリットとデメリットを天秤にかけて決断することが大切です。もし迷っているなら、短期間のお試し利用ができるメーカーもあるので、実際に体験してから判断するのも一つの方法でしょう。
