今回の記事では、ダイソー、スリコ、キャンドゥ、セリアの4店舗が販売する100均イヤホンを実際に聞き比べ、どのイヤホンが音質No.1なのかを徹底検証します。最近、「ダイソーのハイレゾ対応イヤホン（型番6071）」が、価格550円ながらもiPhone純正イヤーポッズを上回る音質との噂が広まっていました。そこで、100均イヤホン全体のレベルを探るため、ダイソーの6071および新型7301、スリコの高音質イヤホン（低音域タイプ）、キャンドゥの高音質デュアルドライバーイヤホン、セリアの密閉型ステレオイヤホンといった5つの製品を用いて比較することにしました。この記事では各製品の特徴、実際に聞いたときの印象、そして総合評価について詳しくまとめます。
比較商品の紹介
ダイソーイヤホン（6071と7301）
ダイソーからは、ハイレゾ対応を謳ったイヤホンが2種類発売されています。型番6071はイヤホン部にプラチナカラーが施され、リモコンにマイクとボタンが装備されています。一方、型番7301は外観はほぼ同じながらも、イヤホン裏面に出っ張りがある点が特徴です。どちらも550円（税込）で手に入りますが、6071は高音が抜けるクリアな印象を持ちながらも、低音域がやや物足りないという意見がありました。7301は6071の特徴を引き継ぎつつ、音の浮つきが抑えられており、全体的にバランスの良い音質に仕上がっています。
スリコイヤホン（低音域タイプ 高音質イヤホン）
スリコでは「高音質イヤホン」のシリーズで、低音域タイプの製品が550円（税込）で提供されています。こちらは、イヤーピースが3サイズ用意され、付属のリモコンにはマイク、音量調整、再生・停止、通話ボタンが搭載されており、細かな操作が可能です。低音域にこだわった仕様と言われていますが、実際に聞いてみると多少霞みがかかった印象もあり、全体的には優秀ながらもダイソーの新型に一歩譲る評価となりました。
キャンドゥイヤホン（高音質デュアルドライバーイヤホン）
キャンドゥのイヤホンは、デュアルドライバー仕様を取り入れており、独立した2つのスピーカーが高音質の実現をサポートしています。価格は330円（税込）と、今回の中では最も低価格ながら、リモコンにマイクとスライダー式の音量調整、通話ボタンも備えた充実したモデルです。実際の使用感としては、高音は比較的鮮明に出るものの、音抜けの良さにやや欠け、装着感についても耳から外れやすいという指摘がありました。
セリアイヤホン（密閉型ステレオイヤホン）
セリアが出すイヤホンは、価格110円（税込）と非常に低価格ながら、「音がクリアに聞こえる」とパッケージに記載されています。一見、昔ながらの100均イヤホンを連想させる見た目ですが、実際に聞いてみると、トゲトゲしいサウンドではなく、ある程度はっきりした音はするものの、全体的に曇りがかったような印象でした。どこか遠くのオーディオから流れているような、ぼやけた音質とも言え、今回の比較においては他の製品に劣る結果となりました。
評価基準と比較方法
本比較では、基準機器としてiPhone純正のイヤーポッズを使用し、音楽再生アプリのイコライザーをフラット設定にした状態でシエナ・ウインド・オーケストラの「ロッキーのテーマ」を再生しました。イヤーポッズは、バランスの良いふっくらとした音色ながら、特徴に欠けるという評価でした。各100均イヤホンがどのような部分で優れているか、または劣っているかを、以下の点を重点的に評価しました。
| 評価項目 | ダイソー6071 | ダイソー7301 | スリコ（低音域タイプ） | キャンドゥ | セリア |
|---|---|---|---|---|---|
| 高音域のクリアさ | ◎（抜群の高音） | ◎（落ち着いた高音域） | ◎（ただしやや霞み気味） | △（鮮明はするが音抜けにやや難あり） | △（トゲはないが全体がぼやけがち） |
| 低音域の充実感 | △（物足りなさ） | ◎（バランスよし） | ◎（低音を強調） | △（存在感はあるが鮮明さに欠ける） | △（不明瞭な印象） |
| 音のバランス・分離感 | △（高音が際立ちすぎる） | ◎（全体のバランスが良い） | ◎（やや霞むがまとまりはある） | △（クリアな面はあるがやや平坦） | △（全体的にぼやけ） |
| 装着感・使い勝手 | 良好（基本の機能十分） | 良好（改良によって安定感あり） | 使いやすい（3サイズのイヤーピース付き） | やや不安定（装着感改善の余地あり） | 普通（従来型の感覚） |
各イヤホンの詳細な聴感レビュー
ダイソー6071：若々しいエネルギー
6071は、高音域の抜けがよく、細かな音の輪郭がしっかりと浮かび上がるのが魅力です。聴いていると、まるで15歳くらいの若々しいロッキーが広場ではしゃぎ回るような、エネルギッシュで少し浮ついた印象を受けます。ただし、低音域にやや力不足感があるため、全体としては初々しいが完成度にはやや欠ける面もあります。
ダイソー7301：成熟した大人の音質
7301は6071の進化版とも言えるモデルで、音のバランスが見事に調整されています。高音のバリ感が控えめになり、音の分離も良好で、まるで20代中盤の成熟したロッキーのような安定感があります。全体的にまとまりのある音楽表現が魅力で、低価格ながら価格差を感じさせない仕上がりと言っても過言ではありません。
スリコイヤホン（低音域タイプ）：低音にこだわる選手
スリコの低音域タイプは、名前の通り低音に強みを持っています。イヤーピースが3サイズ付属され、装着感を重視した作りが評価できます。実際に聴いてみると、全体はダイソー級の音質に迫るものの、若干霞んだ印象もあり、まるでライバルとしての存在感を示すアポロのようなバランス感覚が感じられます。
キャンドゥイヤホン：デュアルドライバーの可能性
キャンドゥの高音質デュアルドライバーイヤホンは、独立した2つのスピーカーによって、音のクリアさと存在感を両立しようと試みたモデルです。高音は比較的鮮明に再現されている一方で、音抜けのスムーズさにやや物足りなさを感じる面もあります。また、物理的な装着感については、使用中に耳から外れやすいといった不安定さが指摘され、価格と性能のバランスを考えると、他の製品に比べると劣る部分もあります。
セリアイヤホン：コストパフォーマンス最重視
セリアの密閉型ステレオイヤホンは、110円という非常に低価格で提供されています。従来の100均イヤホンという先入観を持たずに挑戦すると、意外にも聞ける音質でした。しかし、全体的に音が曇って聞こえる印象があり、隣の部屋の音を聞いているかのような遠近感がうまく伝わらないのが難点です。コストパフォーマンスという点では魅力的ですが、音楽の細部まで鮮明に表現するには難があるといえます。
総合評価と結論
今回の比較検証の結果、各イヤホンとも一長一短がありましたが、特にダイソーの7301が圧倒的なバランスの良さでトップに輝きました。高音域のクリアさと低音域のまとまりが見事に融合されており、イヤーポッズ（約2700円程度）の音質とも肩を並べる、あるいはそれ以上の印象すら受けました。6071も非常に優秀でしたが、少々若さ故の浮つきが感じられたため、成熟した音楽表現を求める方には7301がおすすめです。
スリコのイヤホンは、低音域にフォーカスしているため、重厚感のある音楽やビートの強いジャンルでは十分にその実力を発揮します。しかし、全体のバランスという点では、ダイソー7301には及ばない印象です。キャンドゥのモデルは、価格以上の可能性を感じさせるものの、装着感や音抜けの面で改善の余地があるため、音にこだわるユーザーには物足りなく感じるかもしれません。セリアは、低価格ながらも「いつも使い慣れた100均イヤホン」という安心感がありますが、音質重視のリスナーには多少の不満が残るでしょう。
総じて、100均イヤホン市場は決して侮れないレベルにまで進化しており、低価格でも十分に楽しめる音質のアイテムが揃っています。特にダイソーの7301は、コストパフォーマンスと音質の両面で圧倒的な存在感を示しており、初めて100均イヤホンを試す方にも、イヤホンにこだわるヘビーユーザーにもおすすめできるモデルです。
今後の展望
100均イヤホン市場は、今後さらに技術が進化し、音質や装着感、デザイン面でも革新が期待されます。各ブランドは、限られた価格帯の中でいかに高性能な製品を実現するかが問われる時代となりました。今回の比較で明らかになったように、一部のモデルは既に高級イヤホンに引けを取らないクオリティを実現しています。これからも、各ブランドの新製品に注目し、耳で味わう音楽体験がより豊かになることを期待したいところです。
まとめ
- ダイソーの7301は、クリアな高音としっかりとした低音のバランスが特徴で、総合的に最も優れた音質を実現しています。
- 6071はエネルギッシュな若々しさが感じられるものの、低音域には改善の余地があります。
- スリコの低音域タイプは、低音にこだわる方には魅力的ですが、音の分離感ではダイソー7301に一歩譲ります。
- キャンドゥは、デュアルドライバーによるアプローチで独自の存在感を出そうとしていますが、装着感に難があります。
- セリアは、極めて低価格で購入できる点は魅力的ですが、全体的な音質は他のモデルに劣ります。
以上の検証から、音質No.1としておすすめできるのは、ダイソーの7301でした。価格550円という低コストながら、まるで成熟した大人のようなバランスの取れた音質は、コストパフォーマンスを重視する方にとって絶好の選択肢です。ぜひ、気になる方は実際に手に取って、聞き比べてみてはいかがでしょうか。
