楽譜に出てくる「mf」「cresc.」や、音符を結ぶ曲線。名前を知るだけでなく、強さ・速さ・音のつなぎ方・進む順番に分けると、何を変えればよいかが見えてきます。

ここでは初めての譜読みに役立つ記号と用語を、読み方と意味の早見表にしました。すべての音楽記号を網羅する辞典ではなく、練習中に迷いやすいものを確かめるための入門ガイドです。

強弱記号一覧|p・fと、その間の強さ

基本はpが弱く、fが強く。音量を数字で固定する指示ではなく、曲の中での強さの関係を示します。

表記読み方基本の意味
ppピアニッシモごく弱く
pピアノ弱く
mpメゾピアノやや弱く
mfメゾフォルテやや強く
fフォルテ強く
ffフォルティッシモごく強く

たとえば静かな曲のfと、大人数で演奏する曲のfを、同じ音量にそろえる必要はありません。前後の音、楽器、伴奏とのバランスも含めて考えます。読み方と基本の意味は、ヤマハ「ピアノ、フォルテほか」を参照しました。

cresc.・decresc.・dim.は「変化のしかた」

表記読み方基本の意味
cresc.クレッシェンドだんだん強く
decresc.デクレッシェンドだんだん弱く
dim.ディミヌエンドだんだん弱く

横に長いくさび形でも表します。右へ開いていく形はクレッシェンド、右へ閉じていく形はデクレッシェンドです。短い「>」が一つの音についている場合など、形が似た別の記号もあるので、長さと位置を一緒に見ます。参照:ヤマハ「クレッシェンド、デクレッシェンド、ディミヌエンド」。

pからcresc.でだんだん強くしてfへ進み、dim.でだんだん弱くする例
強弱の変化を表した編集部の例。始点と終点の強さは、実際の楽譜の指定を確認します。

速さの表記|音量とは別に読む

表記の例読み方・意味確認すること
♩=60四分音符を1分間に60個分の速さで数字の前の音符が四分音符か
♩=120四分音符を1分間に120個分の速さで♩=60の2倍の速さ
Largoラルゴ/幅広く、ゆるやかに速さと曲の雰囲気
Adagioアダージョ/ゆっくりと数字の指定が併記されているか
Allegroアレグロ/速く、快活に速さだけでなく表情も意識

「60」だけを見ず、その前の音符も読みます。四分音符と八分音符では、同じ数字でも数える単位が違います。また、Allegroなどを一つの固定BPMに置き換えると、楽譜の意図とずれることがあります。参照:ヤマハ「拍子記号とテンポ」。

練習では「強くしながら速くなってしまう」ことも確認したいポイント。たとえば一定の間隔で4回手をたたき、間隔を変えずに小さい音から大きい音へ変えてみると、強さと速さを別に扱う感覚をつかめます。

タイ・スラー・スタッカート・テヌートの違い

名前見た目の手がかり基本の意味
タイ同じ高さの音符を結ぶ弧線つないだ音符の長さを足し、一つの音として保つ
スラー複数の音にかかる弧線その範囲をなめらかに演奏する
スタッカート音符の上または下の点音を短く切る
テヌート音符の上または下の短い横線音の長さを十分に保つ

タイは音の長さ、スラーは演奏のつなぎ方がポイントです。同じ高さの四分音符二つをタイで結んだら、2回鳴らし直さず、合計の長さだけ一つの音を保ちます。スラーでは、複数の音をなめらかにつなぎます。

スタッカートの点は、音符の右につく「付点」と位置が違います。また、短く切る割合をどの曲でも厳密に半分と決めるわけではありません。奏法の整理はヤマハ「タイとスラー、スタッカートとテヌート」を参照しています。

くり返し記号|先に道順を書いておこう

細い線・太い線と二つの点でできたリピート記号は、演奏する区間をくり返す指示です。戻り先の記号がない場合は曲の初めに戻り、特別な指定がなければ一度くり返します。

1番カッコ・2番カッコがある場合は、1回目に1番を通り、戻ったあとの2回目は1番を飛ばして2番へ。参照:ヤマハ「リピート記号、1番カッコ、2番カッコ」。

自分の楽譜に書くメモの例
共通部分を「前半」、1番カッコを「終わりA」、2番カッコを「終わりB」とした場合:
前半 → 終わりA → 前半 → 終わりB

音を出す前に鉛筆で道順をたどると、戻る場所で止まりにくくなります。複雑な反復や特別な指示がある楽譜では、その記載を優先してください。

覚えたことを、3問で確認

答えを開く前に、「何を変える指示か」を一言で説明してみましょう。

1.mfは、fより強い? 弱い?

基本の強弱の並びではfより弱く、「やや強く」です。音量を一定の割合にする指示ではありません。

2.cresc.があれば、だんだん速くする?

変えるのは音の強さです。速さを変える指定がなければ、テンポを保ちながらだんだん強くします。

3.同じ高さの四分音符二つをタイでつないだら?

一つの音として、四分音符二つ分の長さを保ちます。途中で同じ音を鳴らし直しません。

一覧を紙にまとめて練習に使うなら、A4・A5などの紙サイズと印刷倍率も参考にしてください。